日々の勉強を頑張っている君へ

秋になって勉強に身が入る季節になってきました。勉強する女の子
今月は小中学生だったらどうしても避けて通れない「記憶」のお話です。
おれ、記憶力に自信がないんだよなあ、と嘆いている人、一読してみてください。

忘れられない記憶とは…「セット」とで覚えていると思い出しやすい

まず、記憶の特徴についてみてみましょう。
皆さんが今までの人生で一番記憶に残っている出来事は何ですか。範囲が広すぎて答えにくいかもしれませんが、考えてみてください。
例えばこんなことが挙げられます。

  • テストで100点をとったこと              
  • 運動会や合唱で1番になったとき
  • 初めて自転車に乗れたとき
  • 仲の良い友達が転校してしまったとき
  • 友達とけんかした時(自分の言い分をわかってくれなかった時)
  • 誕生日プレゼントに欲しかったものをもらった時

思いつくままに「一番記憶に残っている出来事」を6個書き出してみました。
初めて100点をとった時は興奮して、家に帰ってすぐに親に見せた記憶です。そしてほめられて、うれしかったので記憶に残っていたのですね。100点の赤い文字まで目に焼き付いているのではないでしょうか。もっとも、0点も思い出に残りますが、こっちはくやしい!という気持ちが強かったので覚えているのです。自転車ですが、運動神経が良くて特に苦労もせずに自転車に乗れるようになった人はあまり覚えていないかもしれません。でも、毎日足に擦り傷をつくりながらも、自転車に乗る練習を重ねてやっと乗れるようになった人の場合はうれしさも格別です。同じ自転車乗りですが、苦労の大きい人ほど記憶に残っていると想像できますね。転校で悲しい思いをした人はいませんか。ずっと仲良くしてきた人が突然、遠いところに転校することになった場合です。毎日遊んだり、勉強したりしてきた人が今日はもういないのかと思うと淋しくて耐えきれない思いを味わいます。友達とのちょっとした気持ちのすれちがいから、けんか別れした場合、「なんであんなこと言っちゃったんだろう。」と後からずっと後悔することになります。親友に「もうあなたとは会えない。」と言われたときの悲しみは一生心の傷として残ってしまうかもしれません。
こうしてみてくると、「記憶に残っている出来事」には必ず「うれしい」だとか、「悲しい」などの気持ちが一緒に思い出されていることがわかります。さらに、友達に本心を理解してもらえなかった気持ちは「悔しい」です。長くはっきりと覚えておくには記憶に感情などをセットにしておくといいということがわかります。

記憶にまつわる関連事項を増やす

「うれしい」や「悲しい」「悔しい」は感情の表現です。この感情が記憶にくっついて、いわば「セット」で記憶されると忘れにくくなります。言い方を変えれば、悲しい出来事や嬉しい出来事ほど心にしっかり「記憶」されていることになります。

感情の表現には上記「うれしい」「悲しい」の他に「怒り」「たのしい」(喜怒哀楽)があり、さらには「苦しい」「悔しい」などがあります。テスト

 

 「100点を採った」のはうれしい感情がセットになっているのは前述の通りですが、人によっては、前の日にお母さんと必死に勉強したことまでもが思い出されたり、答案用紙に書かれた先生の大きな100点の文字までもしっかり目に焼き付いている人もいるでしょう(視覚)。まるでカメラのシャッターのように、脳というフィルムに焼き付けて。その人にとっては「100点の思い出」は「うれしい」以外に「赤い100点の文字」がセットになっています。さらに、前日夜遅くまで苦労してテスト勉強したことまでもが合わさって「100点の思い出」として長く心に残っていくことでしょう。

 このように長く心にとどまる記憶にはその行為(ここでは100点を採ったこと)に「感情」や「視覚的要素」(ここでは真っ赤で大きな100という文字)がセットになって記憶されています。さらに、前日の努力やもらったご褒美がエピソードとして加わり、前日泣きながらも勉強したのであれば「悲しみ」「くやしさ」なども合わさって、もはや忘れられない思い出に昇華して、その記憶は長く脳に保存されることになります。

多くのエピソードをくっつけて覚える

これまでみてきたように、記憶にはその記憶自体に「感情」や「視覚(目で見たこと)」やその記憶にまつわるエピソードがくっついて一つの記憶を作り上げていることが分かります

先の「自転車乗り」の例からわかるように、あっさり乗れた人は、「自転車に乗れた喜び」の記憶はないと思います。逆に苦労を重ねた結果、乗れた人は「大きな喜び」とともに練習のつらさやご褒美も合わせて記憶しているに違いありません。この「合わせて」が大切です。関連することが多くあればそれだけ、記憶の網にひっかかりやすくなります。

今までの例で考えれば、次のものが浮かびます。
(1)うれしい、悲しい、悔しいなどの喜怒哀楽(感情)
(2)目や耳、手、鼻の痛み(感覚)
(3)不安、恐怖、苦痛
(4)記憶にまつわる様々なエピソード

自転車乗りの相関図自転車乗りの練習の記憶で言えば、(1)は感情です。上手に乗れた時の「喜び」は忘れがたい思い出として残るでしょう。また、うまくいかなかった時の感情は「悔しい」です。(2)は感覚です。視覚では自転車を見て、道を見て、風景を見て練習します。補助輪付きの自転車を見れば幼い頃の「自転車の練習」を思い出す人がいるかもしれませんし、練習した場所と似た道や公園を見たら子供の頃の自転車練習を思い出すかもしれません。視覚は記憶にとって特に大切ですので、記憶のための情報を視覚から得ます。冷たいハンドルの感触はよく覚えているでしょうし、転んだ時のすり傷の痛みは永く忘れないでしょう。傷が残っていれば一生忘れない強烈な思い出になります。感覚も記憶の一翼を担っていると言えます。(3)は不安、恐怖です。自転車乗りが大の苦手な人にとって、練習時間は「恐怖」以外の何物でもないでしょう。(4)は記憶に付随するエピソードです。例えば、ご褒美に好きな物を買ってもらったことなどを指します。直接は記憶そのものと関係しませんが、記憶をたどる「関連要素」として大切なものです。この関連要素は実に多彩で、皆さんも当時はやっていた曲や当日の天気、降雪、印象的な出来事・場所などと共に思い出す記憶がきっとあると思います。私も昔、大学の(美人の)先生を駅まで送った時、すごい雪が降ってきて、「ロマンチックな夜ですね。」と言われてドキドキしたことを牡丹雪を見ると昨日のことのように思い出します。とにかく記憶を長く留めるには、エピソードを増やすことが大切です。

勉強に当てはめると

勉強は苦しいことが多いので(1)の感情はあまり関係ありませんが、(2)の感覚は使えますので最大限に利用するようにしましょう。

漢字や英語の単語を覚えるときには、皆さんはどうやっていますか。まさか、見ただけ、読んだだけで済ます人はいないでしょう。多くの人は何回も書いて、読んで、聞いて、書けるようになるまで反復して練習しますよね。テストを作って覚えたかを確認してやっと覚えたことにするでしょう。情報の多くは目から入ってきますので、まずは目を使ってしっかり見ることです。色の工夫も大事です。また、歴史年表や元素記号、公式などは大きな紙に書いて貼っておくのも一手。次には書いて覚えるのもいいでしょう。「体に覚えこませる」ということです。さらに口に出して覚えましょう。昔よく言った「鳴くよ、うぐいす、平安京(794年)」などが口で覚える例です。音楽や語学は「聞く」ところから始まります。聞いて、話して、書いて、貼って見て、テストを作って、解いてみて、エピソードを添えてあらゆる工夫をして覚える努力をしてみてください。そしてあなたに相応しい記憶の仕方を見つけてください。

 

※次回は 記憶の話2 です。記憶の話は伝えたいことが多くて1回では載せきれませんでした。
次回は記憶の定着、忘却、忘れない方法(そんなものないかな。)に迫ってみたいと思います。