日々の勉強を頑張っている君へ

秋も深まり、読書にぴったりの季節になってきました。
子どもの頃に読んだ本はのちのちの人生に与える影響も大きいので、ぜひ読書にも励んでみてください。
今月も中・高校生だったらどうしても避けて通れない「記憶」のお話(パート2)です。女の子

記憶には限界がある~適度な休憩を~

集中力には限界があるので、長く勉強や作業をしていると後半は集中力が途切れ、効率が悪くなります。もちろん、記憶する力も落ちます。
こんな動物実験があります。たらいのような容器に濁った水を入れ、中央に隠れた島を作ります。その中にラット(ネズミの一種)を入れ、泳がせます。ラットは最初むやみに泳ぎますが、水に隠れた島があることに気付くと上陸して難を逃れます。何回か繰り返すと、島に上陸する時間は当然早くなります。島に上がれば助かることを覚えます。その後、ここに、脳を激しく刺激して、脳の活動を目いっぱい盛んにした状態のラットを入れます。この「頭がいっぱい」のラットはいくらトレーニングをしても最初の試行からタイムはよくなりませんでした。
すなわち、新しいことは学習できなかったと考えられます。
水を抜いて島を水の上に出すと、このラットも島を見つけて上陸できました。島に上陸すれば、助かることは覚えていました。
動物実験ではありますが、脳の使い過ぎの状態では新しいことは入らないという事が分かります。(山本大輔「脳と記憶の謎」より)
しかし、経験上、長時間学習を続けても、効率は上がらないという事をわれわれは知っています。
長時間、勉強をすると、疲れて、眠くなって、最後にはボーとしてしまいますよね。

学習の定着を図る~一晩寝たぐらいで忘れるようでは困る~

記憶の量
いっぺんに記憶する量にはどうも限界があるようです。
したがって徹夜などという無謀なことはやめて、計画的に無理なく学習した方が良く記憶されます。
また、集中できる時間は個人差はありますが、1時間ぐらいだといわれます。
適度に休憩をはさみながら勉強してください。「ながら勉強」はもっての他です。
さて、「覚える」ということは「忘れる」ということとの戦いです。
何もしないと、覚えたそばから忘れていってしまいます。
一晩寝ると前の日に覚えたことを忘れる。つまり、何もしないと時が経つにつれて忘れ去ってしまいます。
忘れる前に復習をすることで、記憶がぐっと回復します。回復するとともに、忘れにくくなります。
例えば、皆さんは中学校で勉強した二次方程式の解の公式を覚えていますか。 中学三年生はすぐ言えるでしょう。(習ったばかりなので)解の公式
しかし、16歳、18歳、20歳、30歳、40歳・・となるにしたがって覚えている確率は少なくなっていくでしょう。
なぜ、忘れるかというと・・・。
それはめったに使わないからです。よく使えば脳のどこに保存されているかすぐに探し出して、呼び出してきます。記憶されている場所までのルートが確立していて、スムーズに呼び出しができるからです。しかし、めったに使わない人はまずどこに記憶をしまったか探すところから始まりますので、行きつくまでに時間がかかります。または探し出せません。
海馬

われわれが覚えた記憶は脳の「海馬」というところに一時保管されます。短期記憶(電話番号などの一時的な記憶)は保存された後、消えてなくなります。しかし、覚えておかなければならない記憶は数か月後、大脳皮質の方へ移され、長期保存されます。
問題はここにあります。
一旦覚えた解の公式は、誰もが脳の中に保存されます。しかし、この公式を覚えた後、何回使ったかによって、覚えている率は変わってきます。
時々思い出したように使っている人は覚えています。
記憶は神経細胞(ニューロン)の体系として記憶されますので、公式の情報がある神経細胞までいくつかのルートを経てたどり着きます。
そのルートが何回かたどることで確立します。そうすればすぐに記憶の場所までたどり着きますが、めったに解の公式を使わない人にとっては、ルートを探すところから始まりますので行きつけるかどうか。しかも、ルートが1本だった場合にはさらに行きつくことが難しくなります。
記憶まで行くルートは多ければ多いほど記憶の網にひっかかりやすくなりますので、記憶に様々なエピソードをくっつけて覚えておくことはとても重要です。

記憶への手がかり

前回(相談員からの豆知識(3))書いたとおり、「書いて」、「読んで」、「問題を解いて」、「まとめて」、「触って」、「見て」、「匂いもかいで」覚えましょう。
例えば中学校での部活動の練習のときに、先生がいつもかけてくれた音楽を聴けば、苦しかった練習も懐かしく思い出すでしょう。
音楽と部活動が結びついた例です。
また、アンモニアの匂いを理科の実験で嗅いだ人は、大人になってアンモニアの匂いを嗅いだら理科の実験を思い出すかもしれません。
とにかく覚える時に、「これだけは覚えるぞ!」という意識を持つことが何より大切です。
手がかりが多い場合手がかりが少ない

まとめ~今覚えずにいつ覚える!~

2回にわたって「記憶」について書いてきました。
中学生ぐらいの年齢はまるで砂が水を吸うように、物事を記憶していきます。
私の教え子が中学校を卒業して5年経ったある日、私を訪ねてきました。
そして彼から、「先生のつまんない冗談もまだ覚えているよ。」と言われ、そんなことまで覚えているのかと驚いたことがあります。
大人ではとても覚えきれない量を中・高校生は覚えることができるのです。
「鉄は熱いうちに打て」です。
大人になって覚えられる量はほんのわずかです。しかも、忘れやすい。マリーゴールド
今、覚えずにいつ覚える!
記憶についてはまだ、研究の途上にあります。もっと詳しく知りたいという方はインターネットや本などを使って深く勉強してください。
(参考) 山本大輔「脳と記憶の謎」脳科学メディアホームページ(japan-brain-science.com)