吉川市減災プロジェクトin吉川小学校区(平成29年11月15日)
これまでに、東日本大震災をはじめ、水害の三条市、常総市、竜巻の越谷市、熊本地震など、被災した地域の市長や関係者、また学識者と意見交換を行なってきましたが、その誰もが同じように口にするのが、「災害時に、行政が全ての市民の命を救うことは出来ない。その現実をしっかりと市民に伝え、市民が自らの命を自ら守る意識を高めなければダメだ」ということです。
また、「自然災害は人知を超えたものであり、防げるものではなく、謙虚に『少しでも被害などを減らす=減災』という意識を持つべきだ」とも。
そうした中、吉川市では今年を「減災元年」とし、「吉川市減災プロジェクト」を展開しています。
第2回目となる今回は、吉川小学校を会場とし、吉川小学校区の皆さんと共に、中川堤防の決壊を想定した総合減災訓練を行いました。
水害を受けた様々な自治体の教訓を踏まえ、また2年前の「関東・東北豪雨」時には吉川市で初となる「避難勧告」発令となった地域であることも踏まえ、地域住民の「参加型訓練」とし、
- 高齢者等の要支援者の避難
- 避難所の開設
- ボランティアセンターの開設
- 外国人の方の避難対応
等を展開しました。
しかし、参加された方々の中には、
「11月という寒い季節に訓練やらなくてもいいんでは。」
「市の職員から段取りの説明がないのはどうしてだ。もっとちゃんと仕切ってほしい。」
「避難所の設営やトイレの設置は市の職員がやるべきでは。」
というようなことを意見される方もいました。
これらのご意見は正しいのでしょうか。
現実に災害が起これば、こんなものではありません。
真冬でも、夜中でも災害はやってきます。
職員も被災し、充分な人数確保は難しくなります。
そうした中で、避難所やトイレ、物資や水の配給には、多くの市民が集まり、混乱が起こる可能性もあります。
そう考えると、やはり、災害時の避難所運営等は、地域の方々がリーダーとなって担うしかないのです。
もちろん行政が無策だと言うわけではありません。
現在吉川市では、テレビのデータ放送やSNSなど様々な形で情報提供ができるよう整備を進めています。
また「防災行政無線の放送内容を確認できる電話応答サービス」なども行なっています。
さらに、いざというときの地域のリーダーとなる「地域防災リーダー」の育成や、子供達への「減災教育」も展開しています。
また、減災に向けた河川改修などのインフラ整備にも力を入れています。
しかし、「自らの命を守る」のは、やはり、「自ら」。
つまり「自助」の力なのです。
前述のように、「自助」向上を目指す訓練の中でも、前回に引き続き今回も、陸上自衛隊の皆さんに参加いただきました。
陸上自衛隊「第32普通科連隊」は災害時に私達の吉川市を支援してくださる隊です。
そうした「第32普通科連隊」の皆さんや県警、県防災航空隊、吉川松伏消防組合、さらに市建設業協会、市青年会議所など災害協定を結ぶ各種団体の皆さんと連携しての実演訓練は非常に意義あるものでした。
また、その実演訓練を多くの市民の皆さんが目にしたことは、「これほど多くの団体の力により、吉川市が守られているんだ」と理解する一歩になったのではないでしょうか。
早朝より参加いただいた関係団体の皆さん、本当にありがとうございました。
今後も、それぞれの小学校区において「減災プロジェクト」を展開すると同時に、 地震や水害、大規模火災等に対してさらに実践的な減災訓練を地区ごとに実施してゆこうと考えています。
こうした積み重ねこそが、まちの防災力となってゆくのです。
これからも市民、地域、民間団体、そして行政が一体となり、共に学び、共に備えてゆきましょう。
平成29年11月15日
吉川市長 中原恵人