A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行警報が発令されました

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(いわゆる溶連菌による咽頭炎)の埼玉県感染症発生動向調査による2023年第50週(12月11日~12月17日)の1医療機関(定点)当たりの報告数は、前週の7.70人から8.04人へと増加し、国の定める警報の基準値である8人を超えました。警報を発令するのは、統計のある1999年以降初めてです。保健所管内別での1定点当たりの報告数は、南部保健所(20.40人)、春日部保健所(15.00人)、幸手保健所(13.56人)の順となっています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎を予防するためには、流水や石けんによるこまめな手洗いやアルコール消毒、咳やくしゃみをする時に口と鼻をティッシュ等でおおう、マスクをするなどの咳エチケットがポイントです。

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは

 血清型がA群のレンサ球菌による上気道感染症です。レンサ球菌は、細菌性急性咽頭炎の最も一般的な原因菌で、学童期の小児に多く見られます。典型的には、2~5日の潜伏期間の後、突然38℃以上の発熱、のどの痛み、苺状の舌などの症状が現れます。熱は3~5日で下がり、1週間以内に症状は改善します。まれに重症化し、のどや舌、全身に発赤が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行することがあります。また、リウマチ熱や腎炎の原因となる場合もありま す。同じ細菌を原因とするものとして、劇症型溶血性レンサ球菌感染症があります。

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎を広げないために

外出後の手洗いやアルコール消毒等

 細菌が付着した手で口や鼻に触れることで感染が広がるため、流水や石けんによる手洗いが有効です。また、アルコールによる消毒も効果的です。むやみに目や口に触れたり、こすったりしないようにしましょう。

普段からの咳エチケットの励行

 咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことでも感染が広がるため、飛沫を浴びないようにすることでも感染する機会を減らすことができます。そのため、普段から咳エチケットに努めましょう。
厚生労働省ホームページ「咳エチケット」(厚労省ホームページ:外部リンク)

かかった人との密接な接触を避ける

 家族や周囲の人がかかってしまったときは、密接な接触を避けるようにしましょう。

十分な休養とバランスの良い食事

 体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスの良い食事を日ごろから心掛けましょう。

 

発熱や体調不良の時には

  • A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、適切な抗菌薬治療を開始すれば24時間以内に感染力はなくなるとされています。早めに医療機関を受診し、早い回復につなげましょう。
  • 安静にして休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
  • 水分を十分に補給しましょう。
  • 同居人のいる方は、家庭内でもマスクをするようにしましょう。

参考

感染症発生動向調査について

 都道府県及び保健所設置市が定点医療機関(モニター)から感染症患者の受診状況について毎週報告を受け、流行状況を把握するものです。 

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎については、埼玉県、さいたま市、川越市、越谷市及び川口市が、埼玉県医師会の協力を得て、164 の小児科定点医療機関を指定しています。