平成28年度施政方針

  平成28年度施政方針 [562KB pdfファイル] 

 

 去る2月25日、議会開会日に中原市長より、平成28年度施政方針演説がありました。

 施政方針とは、今後の市政運営にあたり、市長の市政運営に対する基本的な考え方や主要な施策について述べたものです。

 

 平成28年第2回吉川市議会3月定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様方におかれましては、お忙しいところを御健勝にて御参集賜り、心から御礼を申し上げます。本定例会開会に当たり、平成28年度一般会計当初予算を始めとする議案を御審議いただくことを踏まえ、私の市政に対する所信を申し述べるとともに、主要な施策につきまして御説明申し上げます。 

 

施政方針を演説する中原市長

 

はじめに

 平成28年4月に、当市は市制施行20周年を迎えます。そうした中、平成28年度は1年を通じて、当市に功績のある方々を表彰する20周年記念式典のほか、市民と市職員がプロジェクトチームを組織して企画・実施する特別記念イベントなどの事業を展開し、市民相互の一体感と吉川への愛着心を高めてまいります。

 さらに、私は、この慶事に際し、改めて当市の歴史と先人を、感謝の気持ちを持って振り返り、我らが郷土を再発見する機会と捉え、当市にある資源を掘り起こし「オール吉川での前進」により、ここからさらに20年先の未来に向けた新たな出発の年としてまいります。

 そのためにも、「価値ある未来を、共に」の考えの下、「チャレンジ」を基本姿勢とする市政運営に取り組んでまいります。

 平成28年度の我が国の経済見通しについて国は、「平成28年度の経済財政運営の基本的態度」に示された政策の推進等により、「雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が更に進展するとともに、交易条件が緩やかに改善する中で、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる」としておりますが、「マイナス金利政策」の導入決定による楽観・悲観が混在し、原油安などにより世界経済の先行きが懸念されており、国内外の経済状況は依然晴れ間が見えない現状にございます。

 しかし、地方はそれぞれの課題解決に向け、待ったなしの状況にあり、知恵を絞り、「地方版総合戦略」を策定・実施し、選択と集中による施策を展開しなければなりません。

 そうした中、協働のパートナーである埼玉県の動向に注目すると、平成28年度は、生産年齢人口の減少や異次元の高齢化といった社会構造の変革により生じる様々な課題に挑戦し、解決モデルを示すため、「先端産業創造プロジェクトの推進」や「中小企業の競争力強化」、「儲かる農業の推進」などによる『稼ぐ力の強化』、そして「アクティブシニアの活躍支援」や「健康長寿埼玉プロジェクトの推進」などによる『シニア革命』、さらに「埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの更なる推進」や「多彩な未来の人材育成」などによる『人材の開発』の3つを大柱とする、当初予算を組んでおります。

 

 このような中、吉川市の平成28年度当初予算は、第5次総合振興計画前期基本計画の最終年度であることから、平成29年度からの後期基本計画を見据え、第3期実施計画に基づくとともに、「子どもの笑顔と活気でまちを満たす」、「市民の幸福実感を追及する」を基本目標とした「地方版総合戦略」を踏まえ、「価値ある未来」を創るため、真に必要な事業について取捨選択し、予算編成を行うものとしました。

 特に、前期基本計画に掲げる重点テーマである「災害から市民の生命と財産を守る」、「子育てしやすいまちをつくる」、「まちの住みよさと魅力を高める」への取組や、新庁舎建設事業、中学校建設事業、吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業の推進、そして未来に向けた新たな事業にチャレンジするものとしました。

 

 その結果、平成28年度吉川市一般会計予算案は、平成27年度の骨格予算に対するいわゆる肉付け予算となった6月補正予算後との比較で1.6%減の203億2,700万円となっております。

 また、国民健康保険、下水道事業、農業集落排水事業、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計につきましては、特別会計の設置目的や趣旨に従って予算編成を行い、当初予算と合わせた総額を同じく6月補正予算後との比較で1.2%減の341億4,544万6千円の予算案を御提案させていただいたところでございます。

 なお、国の補正予算を活用する事業といたしましては、地方創生加速化交付金を活用した、まちの魅力を高める事業として「観光地域づくり振興事業」やTPP対策関連事業である「担い手確保・経営強化支援事業費補助事業」などを計画しているところでございます。

 

それではまず、第5次総合振興計画・前期基本計画の3つの重点テーマに沿って、平成28年度の主な取組につきまして、御説明申し上げます。 

 

 1 災害から市民の生命(いのち)と財産を守る

 1つ目は、「災害から市民の生命(いのち)と財産を守る」でございます。

未曽有の災害となった東日本大震災から間もなく5年を迎えます。私も、大震災発生後被災地に入り自然災害の猛威を直接感じる中で支援を行ってまいりましたので、一日も早い復興を強く願う一人でございます。

 さらに、平成27年9月の関東・東北豪雨では、当市で初の避難勧告を発令する事態となりましたので、このテーマへの取組は、大変重要なものと再認識をしております。

 そこで、まず地域防災計画の改定に取り組みます。また、吉川市総合治水計画も策定されてから10年以上が経過し、周辺環境の変化が生じていることから、改定をいたします。災害から市民の生命と財産を守る

吉川駅を中心とした第1排水区と木売排水区を担う共保・高久雨水ポンプ場につきましては、「長寿命化計画」に基づく機械・電気設備の更新を引き続き実施してまいります。また、吉川駅周辺の浸水被害を軽減させるため、木売落しを活用した貯留施設の整備に向け、都市計画の協議を国や県などと進めてまいります。さらに、須賀地区を始め、今回浸水被害のあった地区での被害軽減を図ってまいります。

自然災害への備えにつきましては、減災への理解を深め、自助・共助・公助が連携することが大切でございますので、美南小学校を会場として総合防災訓練を実施し、更には、自主防災組織や児童生徒などに対する啓発活動に取り組んでまいります。そして、災害被害を最小限に抑え、二次災害を防ぐためには、正確で迅速な情報伝達が不可欠であることから、放送の音質の向上と他の防災システムとの連動を高めるための防災行政無線のデジタル化や、災害時の情報伝達ツールを増やすためにテレビ埼玉データ放送の活用を実施いたします。さらに、国・県・関係機関との、日常的な結びつきの推進を図ります。

下水道管渠などが大規模地震により被災した場合には、市民生活に与える影響が最小限となるよう、基礎調査や耐震診断など下水道耐震化計画を策定してまいります。

 新庁舎につきましては、コンパクトで、かつ、簡素でありながらも、災害に強いものを設計し、平成28年度中の着工に向け、スピード感をもって取り組んでまいります。

 

 2 子育てしやすいまちをつくる

 2つ目は、「子育てしやすいまちをつくる」でございます。

「吉川市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、住み慣れた地域で安心して妊娠、出産、育児のできるまちづくりを目指し、新たに産前・産後の母親にへルパーを派遣する産前・産後ヘルプサービス事業を開始し、子育ての負担を軽減するなど、引き続き、切れ目のない子育て支援の充実に努めてまいります。また、そうした子育て支援事業を市民の皆様へ分かりやすくお伝えできるよう、様々な工夫を行ってまいります。子育てしやすいまちをつくる

また、入所希望者の増加に応えるため、民間保育所開設や平成29年度の保育所待機児童ゼロを目指した施設整備の促進、更には民間保育所の行う障害児保育事業と看護師配置事業、認可保育所や小規模保育所への図書購入費、年間行事費について、補助基準を引き上げるなど、保育所に対する支援の充実を図ってまいります。なお、国の予算に対応した幼児教育無償化につきましては、適切に対応してまいります。

学童保育につきましては、増加する児童に対応するため、学童保育室を増設するとともに、平成29年度を見据え美南学童保育室の施設整備を行います。また、子どもたちにとって、放課後が充実したものとなるように、様々な角度から検討を行ってまいります。

 

3 まちの住みよさと魅力を高める

 3つ目は、「まちの住みよさと魅力を高める」でございます。

 吉川に住む人々が吉川の魅力を知り、好きになり、自慢したくなるような「吉川への愛着心」を育むとともに、吉川を全国にPRし、吉川の認知度を高め、吉川に住みたいと思ってもらえるよう、積極的かつ効果的なシティプロモーション事業を展開してまいります。中でも、吉川のシンボルとなっているなまずを観光資源としてPRするために、養殖、食文化、歴史などの面から総合的に再考察、再構築してまいります。また、ふるさと納税につきましては、平成27年末から大きな反響をいただいておりますが、地域振興として、新たな市内の名品や特産品を発掘しながら、パートナー事業者との連携を深め、更なる吉川市の魅力を発信してまいります。まちの住みよさと魅力を高める

吉川第一土地区画整理事業地内やきよみ野地区内の公園につきましては、開設後約20年が経過し、遊具や施設の老朽化が目に付くようになってまいりました。そこで、「公園再生プロジェクト」を立ち上げ、再生に向けて新たなコンセプトを定め、遊具や修景施設などの見直しに着手してまいります。

吉川美南駅周辺地域の東口につきましては、市民の声を集約し、「笑顔と緑あふれる みんなの庭」というコンセプトを掲げ、より良い土地利用計画に見直しをしたところでございます。平成28年度におきましては、市街化区域の編入と土地区画整理事業の事業化に向けた関係機関調整が整い次第、速やかに都市計画決定手続に入るとともに、事業化後、円滑に事業が展開できるよう、換地設計や申出換地制度などの準備作業を進めてまいります。

西口につきましては、地域の利便性向上に繋がる駅前商業施設の早期出店などに向け、働きかけてまいります。

充実した公共交通網の整備にあたりましては、今後の高齢化の進展を見据え、バス事業者との情報交換や協議を図りながら、路線バスの利便性と利用環境の向上を図るとともに、バス事業のみならず、公共交通全体のあり方について検討を行ってまいります。

 以上、重点的な取組を説明させていただきましたが、引き続きこれ以外の施策について、第5次総合振興計画の施策の体系に沿って、概要を申し上げます。

 

Ⅰ ふれあい・交流・協働のまちづくり  市民交流部門

 はじめに、第1の「ふれあい・交流・協働のまちづくり」についてでございますが、この部門は吉川市基本構想における、まちづくりの基本理念「共にまちを想い、共にまちを創る」にあたるものであり、私のテーマでもある「価値ある未来を、共に」の「共に」にも重なる部門であります。市民交流部門

そうした中、「市民参加のまちづくり」につきましては、「市民シンクタンク」を設置し、市民の専門的知識や経験を市政に反映した、市民目線の市政運営を実現してまいります。さらに、現在は、県で行っている特定非営利活動法人の認証を市で行うこととし、市民活動団体助成制度を創設すること、また、「地区担当官」を配置することで、市民との信頼と連携に基づく協働のまちづくりを推進してまいります。

地域の課題解決に向けた取組を行う自治会に対しましては、引き続き地域活動や集会施設整備への支援を行うとともに、「どこでも市長」を展開する中で、共動での課題解決を図ってまいります。さらに、第3次吉川市男女共同参画基本計画後期計画を策定し、「平和のつどい」などの平和関連事業の充実を図るとともに、友好提携姉妹都市の米国レイクオスエゴ市や友好提携市の岩手県一関市との市民交流を図ることはもちろんのこと、吉川市に在住する外国籍の方々への支援のみならず、共動を図ること、また新たな国との国際交流の可能性も見据えながら、多文化共生の推進を実施してまいります。

 

Ⅱ 元気・健やか・幸せのまちづくり  健康福祉部門

 つづきまして、第2の「元気・健やか・幸せのまちづくり」についてでございます。

「いきいき暮らせる高齢者福祉の推進」についてでございますが、介護予防につきましては、元気な高齢者の皆様方を対象とした「いきいき運動教室」を拡充してまいります。さらに、簡単に認知症の自動判定ができる「認知症簡易チェックサイト」を開設してまいります。そして、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」いわゆる「新しい総合事業」を平成29年4月から円滑に実施するため、NPO法人などによる多様なサービスの提供体制を整備してまいります。また、平成30年度から平成32年度までの3年間を計画期間とする第7期吉川市高齢者福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け、高齢者一人ひとりの生活実態やニーズを把握するため、アンケート調査を実施し、地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。

 次に、「みんなが支え合う障がい者(児)福祉の推進」につきましては、今後の障がい福祉施策を一層推進していくため、「障がい福祉課」を新たに設置し、組織体制を強化してまいります。障がい者が地域で安心して暮らしていくためのグループホームにつきましても、更なる整備促進に向けて事業者への働きかけを行ってまいります。また、発達障がい児への支援として、保育所・幼稚園に専門支援員を派遣する「巡回相談事業」に取り組むとともに、家族や団体などへの支援活動にも取り組んでまいります。

 次に、「生涯を通じた健康づくりの推進」につきましては、この部門の重要な柱の一つと捉えております。私は、市長就任後速やかに、自主的に楽しみながら健康づくりに取り組む「健康・体力づくりポイント制度」に加えて、県との連携による「健康長寿埼玉モデル普及促進事業・毎日1万歩運動」を実施し、健康づくり、健康長寿を促進し、元気で豊かな毎日があふれるまちづくりを目指してまいりました。平成28年度につきましても、毎日1万歩運動参加者による県外ウォーキングを企画するなど、拡充を図りながら、引き続き「生涯を通じた健康づくり」を推進してまいります。

 小・中学校に設置しているAED、自動体外除細動器につきましては、休日や夜間にサッカーや野球に取り組む子どもたちや市民サークルの方々が使用できるように設置場所を屋外に変更いたします。

 乳がん・子宮がんにつきましては、早期発見・早期治療が大切でございます。平成27年度におきましては、秋以降に急増した検診希望者に対応するため、急きょ集団検診日を増やしたところでございます。平成28年度につきましても、乳がん・子宮がんの集団検診日を拡充し、検診の充実を図ってまいります。

 また、国の第3次食育推進計画を踏まえつつ、「命をいただく食育」等、吉川市独自の内容を含む「第2次食育推進計画」や、地域福祉施策の更なる充実と支え合いによる地域づくりを促進するため、「第3次地域福祉計画」を策定してまいります。

 次に、「スポーツによる健康・体力づくり」についてでございますが、市制施行20周年記念事業の一環として、スポーツ選手を招いたスポーツ教室「グラウンドゴルフ大会」などを開催いたします。

 また総合体育館床面修繕やトレーニングマシンの更新、更には江戸川河川敷の有効活用の検討を行うなど、誰もが年齢に応じた運動に親しむことができる環境づくりに努めてまいります。

 次に、「健康保険・年金による社会保障」につきましては、新たに糖尿病の重症化予防のため、重症化しやすいと見込まれる方に医療機関への受診を勧めてまいります。また、国民健康保険被保険者の健康を保持し、中長期的な医療費の増加を抑制するため、引き続き特定健康診査の受診率特定保健指導の実施率向上、ジェネリック医薬品の使用促進に努めてまいります。 

 

Ⅲ うるおい・安心・快適なまちづくり  生活環境部門

 つづきまして、第3の「うるおい・安心・快適なまちづくり」についてでございます。

 主な取組といたしまして、まず「環境にやさしいまちづくり」では、新たなエネルギー源として期待されている水素の利活用について、国の動向に注視するとともに、県と共に調査・研究に取り組んでまいります。また、持続可能な循環型社会の構築のため、新たに作成する雑紙回収袋を活用するとともに、様々な機会を捉え、分別排出の啓発、廃棄物の排出抑制やリサイクル意識の向上に努めてまいります。生活環境部門

次に、「調和のとれた住環境づくり」についてでございますが、古くから市街地が形成され、建物が密集している平沼周辺地区につきましては、防災性の向上と良好な住環境の形成を図るため、吉川橋周辺地区と平沼西部地区につきましては、地区計画や準防火地域の指定などの都市計画変更手続を進めてまいります。また、市内の空家に関する情報収集や現地確認を行うとともに、空家等対策計画を策定してまいります。

次に、「美しい水環境」につきましては、現在、施工中の吉川中央土地区画整理事業区域内の公共下水道への供用を順次拡大するとともに、公共下水道が整備された地域につきましては、引き続き下水道への接続を促進し、水洗化の向上を図ってまいります。また、「木売落しを活用した貯留施設整備」や県の事業である「大場川の河川改修」におきましても、水に親しめる「水の郷・よしかわ」の美しい水環境創出の実現に向けて力を注いでまいります。

次に、「総合的な治水対策の推進」につきましては、平成27年9月の関東・東北豪雨の当市の状況を踏まえ、排水ポンプ設置箇所の見直しなどで浸水被害の軽減を図るとともに、引き続き、国の事業である中川河川改修と江戸川堤防強化対策、県の事業である大場川、第二大場川の河道改修において、事業の進捗が図られるよう、要望してまいります。

 次に、「暮らしを支える上水道の充実」につきましては、石綿管の布設替えや水道施設の計画的な整備改善を進め、水道水の安定供給を図ってまいります。

 次に、「交通事故のないまちづくり」につきましては、悲惨な交通事故を吉川市からなくすため、平成28年度から5か年計画となる第10次吉川市交通安全計画の策定を進め、通学路の環境整備に力を入れるとともに、主たる交通安全施設と道路を一体的に管理すものとし、高久・中曽根・道庭地区のけやき通りから西側においてゾーン30事業を実施するなど、交通環境の安全面の向上に努めてまいります。

 次に、「安心して暮らせる消防・救急体制の強化」につきましては、消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図るため、資機材の充実や消防器具置場の改築などの支援をしてまいります。

 次に、「消費者保護の推進」につきましては、深刻化する高齢者などの消費者被害に対し地域を挙げて取り組むため、「地域見守りネットワーク」との連携を行い、被害の未然防止と消費者の安全・安心の確保に努めてまいります。

 

Ⅳ 躍動・活力・賑わいのまちづくり  地域振興部門

 つづきまして、第4の「躍動・活力・賑わいのまちづくり」についてでございます。

 この部門のうち、「魅力ある農業の振興」につきましては、当市が早稲米の産地として発達してきた歴史的背景や、休耕田を活用した「なまずの養殖」に成功した実績などを踏まえ、未来を見据えて取り組むべき、今後の吉川市の将来像に欠かせない大きな柱のひとつであると考えております。

 平成28年度からスタートする新たな農業委員会は、農地利用の最適化の推進を必須業務と位置付け、農地利用最適化推進委員も設置し、最適化のための指針を作成し活動を進めます。そのため、これまで以上に、当市と農業委員会が連携を強化する中で、人・農地プランや農地中間管理事業を活用することにより吉川市に合った農地の集積化や集約化を支援すると同時に、農業基盤整備を推進いたします。また、地域農業の担い手である認定農業者や農業団体の活動を支援するとともに、農業体験やイベントなどを通じて、生産者と消費者の交流を図ります。さらに、JAさいかつと連携をしながら、吉川産の米や夏ねぎなどに親しみやすい名前を付けるなどのブランド化に向けた取組も進め、吉川産農産物のPR、販路の拡大に向け、攻める農業を目指してまいります。

 次に、「秩序ある土地利用の推進」についてでございますが、平成27年度におきましては、私自身三輪野江地区に出向き、地元の皆様のご意見に耳を傾けてまいりました。今後におきましても、引き続き、都市計画マスタープランなどに基づき、総合的かつ計画的な土地利用の推進に努めてまいります。

 次に、「新しい市街地の整備」につきましては、吉川中央土地区画整理事業の早期完成に向け、引き続き越谷吉川線の延伸整備や移転補償などを支援してまいります。

 次に、「快適な道路網の充実」につきましては、県の事業である越谷吉川線について、吉川橋の架け替えに伴う仮橋が整備され、現在、旧橋撤去や橋脚工事、地盤改良工事が着手されておりますので、今後におきましても、計画どおり事業進捗が図られるよう、引き続き促進してまいります。また、当市の事業である越谷吉川線の大場川の東から加藤平沼線までの区間につきましては、引き続き用地買収を進めながら盛土工事に着手し、計画的な整備に努めてまいります。市道につきましても、いちょう通りなどの舗装補修、道路の改良や道路後退用地の舗装整備に努めてまいります。

 JR武蔵野線につきましては、吉川駅へのバリアフリートイレの設置を支援するとともに、引き続き鉄道事業者に対し、更なる市民の利便性の向上に向けた要望を行ってまいります。

 次に、「活力ある工業の振興・賑わいのある商業の振興」につきましては、平成27年から行っている「企業訪問」を更に重ね、企業と行政の連携を図るとともに、市内中小企業の優れた技術や製品の情報を発信し、販路拡大や企業間連携を支援してまいります。

 さらに、市制施行20周年記念事業を通して、市観光協会と共に、観光資源としての「なまず」、「さくら」の更なる活用を図り、経済振興に結び付けてまいります。

 

Ⅴ 生きがい・学び・伸びゆくまちづくり  教育文化部門

 つづきまして、第5の「生きがい・学び・伸びゆくまちづくり」についてでございます。

 平成27年度に改正された地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき設置した、「総合教育会議」を引き続き開催してまいります。平成28年度は、学識経験を有する方をお招きしての意見交換や、データによる他市との比較などを踏まえ、当市の教育大綱を策定し、教育行政の推進に努めてまいります。教育文化部門

次に、「豊かな人間性を培う学校教育の充実」についてでございますが、子どもたちが確かな学力・豊かな心、健康と体力を持つ中で、自立心に富み、生涯にわたって自己実現と社会貢献を行えるように、実体験とコミュニケ―ション能力を重視した学校づくりを推進してまいります。学力向上につきましては、児童・生徒の個に応じたきめ細かな指導に当たる当市独自の少人数指導教員や学力向上支援員の配置、教員の計画的な研修により児童・生徒の学力の向上に取り組んでまいります。さらに、教員の資質向上のための研修の開催や、資質向上の研究を委嘱した学校において研究成果の共有化を図り、授業力の向上に努めます。

小中学生のいじめの根絶につきましては、『いじめはどの子どもにも起こり得る』というこれまでの視点を保つ中で、いじめ防止対策推進法に基づいた「いじめ防止のための基本方針」を策定し、当市や学校が実施する施策を明示するとともに、いじめの重大事案が発生した場合の対応として、教育委員会及び市長部局に附属機関を設置し、必要に応じて再調査を実施するなど、いじめ防止対策の更なる充実を図り、誰もが安心して学べる教育環境づくりを推進してまいります。また、今後も増加が見込まれる外国籍の児童生徒に対する日本語学習支援につきましては、吉川市国際友好協会と連携し、更に充実した対応をしてまいります。

 学校施設につきましては、東中学校大規模改修工事の設計を実施いたします。その中で、普通教室へのエアコン設置を進めてまいります。また、(仮称)第4中学校建設につきましては、平成32年4月開校に向け、ワークショップで市民のご意見を伺いながら、基本設計に取り組むとともに、新たな中学校の学区編成のために、「吉川市立小中学校学区審議会」を開催してまいります。

 新学校給食センターにつきましては、当市では初めてのPFI手法により整備され、平成28年4月から運営が開始されます。新たな取組としてアレルギ ー対応食の提供を行うなど、民間事業者の持つノウハウを最大限に活用し、これまで以上に安全で安心な給食を提供するとともに、食育推進などの場として市民に開かれた施設運営をしてまいります。

 次に、「生涯学習による人づくり・まちづくり」、「多彩で個性のある文化の創造と伝承」についでございますが、中央公民館においては、屋上防水工事を実施するとともに、音響側面反射板を設置するなど、生涯学習や文化活動の拠点としての施設整備を進めてまいります。

 また、市制施行20周年記念事業の一環として、平成8年度に刊行した絵本『市制記念吉川むかしばなし』の巻末に、方言集『よしかわ地方の方言と話し言葉』の一部を掲載した新たな『市制20周年記念誌 吉川むかしばなし』の刊行のほか、小説や俳句などを市民から募集する『文芸コンテスト』、生のクラシック音楽をお届けする『生音コンサート』の開催、さらには、高齢者から子どもたちまでが参加できる「市民劇団」の立ち上げに向け、彩の国さいたま芸術劇場への『観劇ツアー』などを盛り込んだ講座を企画するなど、吉川市の文化芸術の振興を目指します。

 市史編さん事業につきましては、近代・現代における吉川の発展過程を総合的に記述した『吉川市史通史編2』を刊行してまいります。

 

Ⅵ まちづくりの推進のために  行政運営

 最後に、「まちづくりの推進のために」についての施策でございます。

 まず、「広聴・広報の充実」についてでございますが、私はこれまで、市民の皆様とできる限り多く直接対話する機会を設けてまいりました。今後も引き続き、「市長キャラバン」「どこでも市長」のほか、子どもたちとのランチミーティングを全小中学校で実施するなど、市民の皆様と直接語り合いながら、その思いを市政に反映してまいります。

 また、災害時を含め、情報伝達ツールを増やすためのテレビ埼玉データ放送の活用や、広報よしかわのページ数の増加、転入者や市民に向けた吉川ガイドマップの発行を行います。更に、平成28年4月の開局に向けて準備が進められているFMこしがやとの連携につきましても検討してまいります。

 次に「計画的、総合的な行政の推進」につきましては、第5次総合振興計画前期基本計画が、平成28年度で計画期間終了となることから、平成29年度から5年間の後期基本計画を策定してまいります。策定に当たりましては、市民意識調査や市民ワークショップなどを行い、市民の考えを十分反映させるとともに、地方版総合戦略の基本目標である「子どもの笑顔と活気でまちを満たす」、「市民の幸福実感を追及する」、の2つの目標達成を実現できるよう、取り組んでまいります。

 また、民間の考え方や手法を市政運営に取り入れ、人材確保策の充実を図るため、「社会人枠」による採用試験を引き続き実施するとともに、民間事業所への派遣など、職員の資質向上を目指した研修の充実を図るほか、職員の健康保持増進のためにストレスチェックを実施してまいります。

 第4次よしかわ行財政改革大綱につきましては、引き続き着実な推進を図り、計画的、総合的に行政を推進してまいります。益々多様化する市民ニーズや当市を取り巻く新たな行政課題に柔軟かつ迅速に対応し、第5次総合振興計画が目指す将来都市像の実現に向けて、行政運営を図ってまいります。

 次に、「持続可能な財政運営」につきましては、税負担の公平性を確保するため、新たに市税と国民健康保険税の徴収一元化を行い、業務の効率化や市民サービスと収納率の向上を目指します。また、他の債権についても、収納課に債権管理係を設置し、滞納額の縮減に努めてまいります。

 次に、「公有財産の適正管理」につきましては、当市の所有する公共施設やインフラを総合的かつ効率的に管理・運用するために策定した公共施設等総合管理計画に基づき、個別に施設長寿命化計画を策定してまいります。 

 以上、平成28年度の市政運営と主要施策につきまして述べてまいりましたが、私といたしましては、市長就任時、目の前の大きな課題として捉えていた「新庁舎建設」や「新中学校建設」、「吉川美南駅東口周辺地区整備」について、この1年間で方針を示し、事業が進展し始めていることから、後期基本計画の策定に併せて、総合公園整備などの新たなことへもチャレンジしてまいりたいと考えております。

市制施行20周年である平成28年度が、「価値ある未来」へ向けた新たな出発の1年となるよう、子どもたちが大人になっても吉川に愛着を持ち続け、吉川に生まれてよかったと思えるような「成熟したまち・吉川」を皆様と共に「オール吉川」で創ってまいりたいと考えております。

 最後に、議員の皆様、市民の皆様の御理解と一層の御支援を賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の平成28年度の施政方針といたします。

 

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