令和8年度施政方針

令和8年2月20日、

令和8年第2回吉川市議会3月定例会の開会日に、中原市長が「令和8年度施政方針」の演説を行いました。

施政方針とは、今後の市政運営に当たり、市長の基本的な考え方や主要な施策について述べたものです。

令和8年度施政方針(印刷用)

令和8年度の市政運営の基本的方針と取り組む主な施策の概要をご説明いたします。

はじめに

令和7年度も残すところあと1か月余りとなりましたが、この1年間においても、災害時の避難所ともなる小中学校体育館への空調設備の設置や、生徒の新たな居場所となる中央中学校へのスペシャルサポートルームの設置、三輪野江地区での農業パーク参入事業者の公募、大沢雄一元埼玉県知事居宅跡地への公園整備、吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業での使用収益開始エリアの拡大、吉川美南駅前公共施設整備に向けた事業着手、吉川駅北口ロータリー再整備など、確実に市の取り組みを進めてまいりました。

一方で、今年に入っても続く物価高騰は、社会全般への影響が広がっており、市民においては、所得は増加傾向であるものの実質賃金はマイナスが続き、生活実態は厳しさを増しています。そのような状況を踏まえ、本年2月の補正予算により、賃上げに向けた市内中小企業の取組支援や物価高騰の影響を受けている市民の皆さまへの生活支援などを今後行ってまいりますが、本市の財政状況についても物価高騰などによる歳出の増加に対し、市税等の歳入の増加はこれに及ばず、厳しい状況が続いております。

そのような中においても、市の理念である「市民一人ひとりの幸福実感の向上」の実現に向け、「取捨選択・チャレンジ・スピード感」という基本的姿勢の下、市民の皆さまと行政との「共動」による「まちづくり」を更に進めるため、一般会計は291億5000万円、特別会計総額は179億3616万6千円、企業会計総額は62億9532万1千円の令和8年度当初予算案を編成いたしました。

それでは、「幸せつながる みんなのまち よしかわ」を将来都市像とする「第6次吉川市総合振興計画・前期基本計画」の4つの重点テーマに沿って、令和8年度の市政運営、主要施策についてご説明させていただきます。

吉川市役所庁舎外観  議場で施政方針を述べる市長  議場で施政方針を述べる市長

重点テーマ1「命を守る」 

重点テーマの1つ目は「命を守る」であります。

近年、日本各地において、地震や水害による被害が毎年のように報告されており、本市においても、私が市長に就任した平成27年以降、避難情報を4回発令するなど、自然災害が発生する頻度が高まっています。

今後も、首都直下地震をはじめとする大地震や、激甚化、頻発化する気象災害の発生が想定される中、本市においても、災害は必ず発生するという前提の下、緊張感と危機意識を持って災害に対する備えを進めてまいります。

そうした中、まず、「みんなで備える防災・減災の推進」についてでございますが、本市は、平成29年を「減災元年」と位置づけてから、今年で10年目を迎えます。私は、これまでの、被災地の現地視察や被災自治体の首長との意見交換を通じ、「自然災害は、人知を超えたものであり、そのすべてを防げるものではなく、謙虚に少しでも減らす」「行政だけでは市民の命のすべてを救うことはできない」という思いを強くし、「減災」という理念、また「自助・共助」の重要性について、市民の皆さまに繰り返しお伝えしてまいりました。

そして、この間、市民との共動による「減災プロジェクト」をはじめ、災害対策本部や協定団体・事業者等を対象とした図上訓練の実施、避難所で使用する資機材の整備など、様々な減災対策を進めてまいりました。

また、元自衛官や元警察官を採用するなど、自衛隊や警察、消防など関係機関との連携強化にも力を入れ、この度、自衛隊において、車両の進出が困難な災害時の状況を想定した行進訓練を、今月27日に本市で実施していただけることとなりました。このことは、これまで関係機関と連携を深めてきた成果の現れであると同時に、災害時の連携をさらに強固なものとする大変ありがたいことであると受け止めております。

令和8年度においても、「減災」という理念の下、様々に災害対策に取り組んでまいりますが、まず、備蓄物資については、食料や飲料水に加え、スープやリゾット、携帯トイレなどを引き続き整備するとともに、最も重要である各家庭での備蓄についても啓発してまいります。また、避難所である児童館ワンダーランド遊戯室と旭地区センター体育室において、避難者の良好な生活空間を確保するため、空調設備設置のための設計業務に取り組んでまいります。

次に、災害時を想定した訓練については、「東中学校」を避難所とする自治会を対象に「減災プロジェクト」を実施し、災害時における避難行動や、HUG訓練を通じた避難所運営の訓練を行い、地域の減災力向上を図ってゆきます。

また、市では、95の事業者と災害時の物資供給をはじめ、一時避難場所の開設や応急対策に係る応援など、様々な協定を締結しております。引き続き、事業者との協定締結に努めるとともに、災害時の連携強化を図るため、特に、インフラ・ライフラインの復旧関係の事業者や、物資の供給・輸送関係の事業者との災害時を想定した図上訓練を行い、顔の見える関係を平時から構築してまいります。

さらに、大規模災害を想定した災害対策本部の図上訓練については、自衛隊と警察にも参加をいただく中で、災害時におけるイメージの共有を図り、状況付与に応じた対応や、課題の整理を行うなど、引き続き、関係機関、関係団体等との連携の中で、危機管理体制の充実と災害時の対応力の強化を図ってまいります。

次に「下水道事業」については、令和7年1月に八潮市で発生した下水道管の破損による道路陥没事故により、尊い命が奪われ、約120万人の市民生活にも影響を及ぼしたことは記憶に新しいところであり、本市においてそのような事故の発生を防ぐため、令和7年度には、安全安心で持続可能な下水道事業経営を目的とした、中長期的な視点に立った「吉川市下水道事業経営戦略」の改定を行ったところでございます。令和8年度は、経営戦略の基本方針の一つにもある「災害に強い下水道」を実現させるため、避難所である中央公民館につながる下水道管の耐震化に向け、設計作業に取り組む中、引き続き下水道施設の点検・調査を実施し、適切な維持管理に努めてまいります。

「災害に強い都市の整備」における「治水対策」については、令和7年度から共保雨水ポンプ場の増強に向けた基本設計に着手しましたが、令和8年度は、引き続き、具体的な事業費や事業期間を明らかにする詳細設計に取り組んでまいります。また、水害に備えて配備している大型排水ポンプについても、老朽化している最後の1台の更新を進めてまいります。

「水道事業」については、「施設更新計画」に基づき、会野谷浄水場内の県水受水管の更新をはじめ、老朽化した水道施設の更新や吉川駅の南部地域における石綿セメント管の耐震管への布設替えを進めてまいります。

また、令和7年度に改定した水道ビジョン(経営戦略)に基づき、引き続き、持続可能な事業運営と安全安心でおいしい水の提供に努めるとともに、イベントなどを通じながら水道事業の現状や災害時対応などの周知啓発に取り組んでまいります。

減災プロジェクトの様子  災害対策本図図上訓練の様子  下水道点検の様子

重点テーマ2「子どもの笑顔を未来につなぐ」

重点テーマの2つ目は「子どもの笑顔を未来につなぐ」であります。

まず、「妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援の充実」については、「こども家庭センター」の運営を通じて、すべての妊産婦、子育て世帯、子供に対し、母子保健や児童福祉の幅広い観点から一体的に相談支援を行っており、引き続き、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を進めるとともに、「子育て世帯訪問支援事業」を推進するなど、配慮が必要な子供やその家庭に対するきめ細かな対応に取り組み、伴走型相談支援の更なる充実を図ってまいります。また、不妊治療における経済的負担の軽減を図り少子化対策に資するため、保険診療での体外受精または顕微授精による一連の治療と併せて実施された先進医療費用の一部を助成してまいります。

「安心して子育てできる環境の充実」については、「吉川市こども計画」に掲げた各施策を着実に推進するよう取り組むとともに、公共施設内の「赤ちゃんの駅」については、より良い環境の下で安心して利用できるよう、個々の状況を考慮して、授乳・搾乳のスペースを刷新するなど、環境整備を進めてまいります。

「保育」については、保育を必要とするすべての子供や家庭が安心して良質な保育を受けられるよう、保育士などへの研修会や情報交換会を充実させるとともに、私立認可保育園協議会とも連携を図りながら、保育の質の向上に取り組んでまいります。また、障がい児保育事業や保育士宿舎借上げ支援事業などの特別保育支援事業においても、拡充しながら支援を進めてまいります。さらに、子供の育ちの支援と子育て家庭の孤立防止を目的としている「こども誰でも通園制度」の取り組みを市立第二保育所において実施してまいります。

「未来を切り拓く力を培う学校教育の充実」については、引き続き、吉川市教育大綱「家族を郷土を愛し 志を立て 凛として生きてゆく」の実現に向け、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実させることにより、子供達の生きる力を育んでゆき、子供達の学びを支える学習環境の整備についても、美南小学校校舎特別教室等の空調設備の更新を実施してまいります。また、GIGAスクール構想に基づき整備した1人一台端末や周辺機器が更新時期を迎えることから、新たな端末等を整備し、学習活動の更なる充実も図ってまいります。

義務教育後から概ね30歳までの困難を有する若者を対象とした「若者支援」については、引き続き、市社会福祉協議会とタイアップした大学等受験料のサポートを進めるとともに、NPO団体等の関係者からの意見を踏まえ、フリースクール等の利用料の助成や若者の資格取得へのチャレンジを応援する助成事業を実施し、当事者一人ひとりの状況に寄り添った支援を行ってまいります。

子ども未来応援集会の様子  小中学生プレゼン大会の様子  旭小学校アスレチックお披露目会の様子

重点テーマ3「誰もが輝くまちをみんなで創る」

重点テーマの3つ目は「誰もが輝くまちをみんなで創る」であります。

まず、「共に支え合う地域福祉の推進」については、重層的支援体制整備事業の充実強化を図り、複雑複合化する生活課題への包括的な支援を行ってまいります。

また、生活に困窮された方々に対しては、自立相談支援を軸とした寄り添った相談により、安心して生活してゆける支援を行うとともに、子供の学習支援についても、より参加しやすい環境で学習に取り組めるよう、小学3年生から中高生まで一体的に事業を展開してまいります。

「いきいき暮らせる高齢者福祉の推進」については、「高齢者が幸福を実感し、すべてのひとが生涯にわたり居場所と役割を持ち活躍する地域」を理想像とする、「第9期吉川市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、介護予防・日常生活支援総合事業の実施や住民相互の助け合いに取り組む団体への支援などにより、地域包括ケアシステムの推進を図るとともに、地域型介護予防教室、運動教室などを通じて高齢者の健康への意識の向上、健康寿命延伸を図ってまいります。

さらに、令和8年は昭和100年に当たることから、先人が築き上げてきた昭和をテーマとした催しを開催するとともに、高齢者や活動の支援を行う団体を紹介するスタイルブックを活用し、高齢者の社会参加のきっかけづくりに取り組んでまいります。

また、高齢化の進展により高齢者のみの世帯や単身高齢者が増加し、高齢者を取り巻く課題は多様かつ複雑になっている状況を踏まえ、相談支援の核となる市内3か所の包括支援センターの体制充実を図ってまいります。

「互いに尊重し合う障がい福祉の推進」については、「第4期障がい者の地域での生活を考える検討会議」において、「障がい者の新たな就労スタイル」について議論を重ね、昨年末、市内の農家や事業者の方々に参加協力をいただく中、複数の障害福祉事業所の利用者が農産物などを販売するスタイルで実証販売を実施することができました。令和8年度は、これを検証し、持続可能なより良い仕組みに農・商・福・行政が連携して取り組んでゆきます。

そして、「文化芸術による幸福実感あふれるまちづくり」の基本理念の下、総合政策の一環として取り組んでいる「障がい者アート展」では、市制施行30周年を記念したテーマで作品を募り、周年事業を盛り上げるとともに、引き続き、発表と表彰の機会を設け、「多様性を認め合い、誰もが活躍できる社会、誰もが幸福を実感できるまち」を目指してまいります。

「平和意識の高揚」については、平和都市宣言の理念を踏まえ、戦争の悲惨さと平和の尊さを次の世代に語り継いでゆくために、文化芸術の要素を取り入れた「平和のつどい」や平和バスツアー、平和パネル展を引き続き実施するとともに、吉川市出身在住の俳優寿大聡(じゅだいさとし)氏がプロデュースした、戦争の記憶を次世代へと伝えるドキュメンタリー映画「満天の星」の上映会を実施し、平和の大切さを考える機会を提供してまいります。

「コミュニティ活動と市民参画・協働の推進」については、自治連合会との協働事業である「地域課題を地域で解決するための勉強会」から発展した「よろず相談所」において、自治会等が地域で抱えている様々な個別の課題を取り上げ、解決に向けた支援を行ってまいります。

また、毎年、市民の自由な発想で政策提言をいただく「市民シンクタンク」や市民による自主的な団体活動を支援する「みらいステップアップ助成金」の取り組みを更に推進することで「市民と行政の共動」を進め、「市民の幸福実感」のより一層の向上を目指してまいります。

平和のつどいの様子  障がい者アート展の様子  市役所1階で実施した複数の障害福祉事業所の利用者の方々による実証販売の様子

重点テーマ4「価値を高め、次世代に継承する」

重点テーマの4つ目は「価値を高め、次世代に継承する」であります。

まず、「文化芸術でつながるまちづくり」については、「文化芸術による幸福実感あふれるまちづくり」を進めるため、文化芸術を総合政策として位置づけ、これまで生音コンサートや市展の開催、子供達による美南中央公園トイレのタイル画の製作など、様々な取り組みを積み重ねてまいりました。そうした中、現在、編集作業を進めている「文藝よしかわ特別号」に寄せられた過去の受賞者や選考委員の方々からの記念メッセージを見ますと、これまでの文化芸術の様々な取り組みが、まさに一人ひとりの人生の1ページ、吉川市の文化の1ページ、そして市史となり、まちの財産となってきていることが実感できます。

令和8年度もしっかりとこの歩みを進めてゆくため、文藝よしかわ第11号の発刊や、俳句協会の皆さまのご協力の下、子供達が俳句作りを通して郷土を知る「ハイク探検団」の開催などに取り組むとともに、吉川市文化連盟との共催による吉川市美術展覧会「市展」の開催など、市民の文化芸術活動の振興に努めてまいります。

また、多様な市民がプロの演出家や俳優とともに舞台を作り上げる「演劇プロジェクト」についても、取り組みを始めて10年以上が経ちました。昨年8月に公演した「光葉(こうよう)~真の強さ求めて~」では、幅広い世代の市民キャストに加え、教育センターに通う子供や障害者施設で暮らす方などがそれぞれの持つ力を合わせ、公演を支えるスタッフとして参画するとともに、多くの市内企業の協賛も集まり、本市が誇るプロジェクトの一つとして定着しています。

そうした中、令和8年度は、市制施行30周年の機会も捉え、プロジェクト創設にご支援をいただいた「彩の国さいたま芸術劇場」に改めてご協力をいただき、新たな演出家を迎え、市民とともに台本を書くという文芸活動との連動を取り入れた取り組みに挑戦し、演劇プロジェクトの新たなステージを創ってまいります。

「文化財保護事業」においては、先人たちが築いてきた「歴史文化」を学び、後世に繋いでゆくということは、「価値ある未来」を創ってゆくため、今を生きる私たちの重要な役割であるという理念の下、令和8年度は、改めて市の歴史や文化、魅力を市民と共有できるよう、これまで好評をいただいた「文化財企画展」の内容などをまとめた「市制施行30周年記念誌 ~郷土を愛し、未来へつなげる~」を編集するとともに、子供向けのわかりやすいリーフレットを制作し、学習資料としての活用を図りながら、未来の吉川を担う子供達の郷土愛を育んでまいります。

本市の歴史、食文化の象徴である「なまず」を用いた取り組みについては、令和7年度は、広島県神石高原町で開催された「全国なまずサミット」に参加し、また「なまずの日献立」として「なまずバーガー」を市内小中学校の給食で提供したほか、三輪野江地区では地元企業により「なまずのぼり」が空高く舞い上がるなど、「なまず」を活用した取り組みが広がりをみせております。令和8年度は、市制施行30周年を記念して各種「なまずイベント」を実施し、7月2日の「なまずの日」には、毎年行っている「なまずのぼり」に加えて、新中川水管橋に「なまずのぼり」が群泳します。また、佐賀県嬉野市で開催予定の「全国なまずサミット」に参加し、他の自治体、団体等との連携の中で、全国に「なまずの里よしかわ」を広く発信するとともに、引き続き、「なまず」を用いた学習や「なまずの日献立」を実施し、「なまず文化」や郷土の歴史への理解、郷土愛の醸成に努めてまいります。

「魅力ある農業の振興」については、下八間堀悪水路の改修をはじめ、農業生産基盤となる用排水路の整備や修繕を継続して進めてまいります。

また、農業の重要課題の一つであるイネカメムシや鳥獣被害及び高温障害を解決することを目的に、市内の農業を支える販売農家に対し、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した「農業者緊急支援給付金」により支援を行ってまいります。

「農業拠点施設整備」については、次世代の視点を取り入れた都市近郊農業の確立や、新たな農業拠点づくりなどを目指す「吉川市農業パーク基本構想」の実現に向け、三輪野江地区における新しい農業の振興を図るため、令和7年度に第1弾となる参入事業者公募を実施いたしました。

令和8年度については、参入事業者が地権者と賃貸借契約を結んだ農地を活用し、円滑に農業参入が進められるよう、手続きや調整等を行い、第1弾となる農業拠点整備を展開してまいります。

「賑わいある商業・活力ある工業の振興」については、物価高騰や人材不足の影響が大きい中、令和7年度は、人材確保に向けた支援事業を実施したほか、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した物価高騰対策事業等の制度設計を行ったところでございます。令和8年度は、「物価高騰対策商品券発行事業」や「賃上げ奨励事業」を展開し、事業者を支援するとともに、市民の負担軽減や消費喚起を促し地域経済の活性化を図ってまいります。また、引き続き、市内事業者の人材確保や雇用安定に向け、就職説明会や就労相談、また、高校生の職場見学等を実施してまいります。そして、例年、農業・商業・工業事業者の新たなビジネスチャンスの創出や販路拡大を生み出している「産業フェア」は、令和8年度においては、事業者のチャレンジの紹介、また、更なる市民の参画等を取り入れ、「産業振興基本条例」の基本理念である「事業者、勤労者、市民、行政の協働による市の発展と幸福実感向上」を目指してまいります。

「吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業」については、まちづくりのコンセプトである「笑顔と緑あふれるみんなの庭」の実現に向け、地権者の皆さまのご理解とご協力をいただきながら、宅地の造成や都市基盤施設の整備を進めており、「産業ゾーン」では企業の立地が進み、「住宅ゾーン」では住宅が建ち並び始め、「商業・業務ゾーン」においては昨年12月に大型商業施設がオープンし、新たな街並みが広がり、街のにぎわいが創出されてきたところでございます。

令和8年度も、引き続き、近隣公園東側周辺の宅地の造成や都市基盤施設の整備を進め、住宅ゾーンの使用収益開始エリアの拡大を図るとともに、保留地の販売を進めてまいります。また、駅前の近隣公園整備については、コンセプトである「みんなの庭」を象徴する場所として、子供達のアイディアを取り入れながら、にぎわい創出に向け、民間企業のノウハウを活かした民間活力導入の可能性についても調査を進めてまいります。

また、「吉川美南駅東口駅前の文化芸術関連施設を中心とした公共施設整備」については、吉川美南駅前公共施設整備基本構想・基本計画に基づき、民間活力を最大限に活用し、本市の価値を高め、新たな魅力のある文化芸術活動拠点の創出を目指し、事業者募集を進めてまいります。

「環境にやさしいまちづくり」については、脱炭素社会の実現に向けて、これまで市庁舎、小中学校、給食センターにおいて、再生可能エネルギー100%由来の電力を順次導入するとともに、環境センターにおいては、東埼玉資源環境組合の廃棄物発電による電力を導入してまいりました。令和8年度は、これらに加えて屋内温水プールにおいても再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。また、現在、市の事務や事業に伴い発生する温室効果ガスの削減に取り組むための「エコオフィスよしかわ」及び「吉川市環境保全指針」の実行計画である「環境行動計画」の改定を進めているところであり、これらの計画に基づく多様な施策に取り組み、引き続き、ゼロカーボン実現に向け、市民・事業者と連携し、「経済性」を考慮しながら「環境負荷の低減」を推進してまいります。

「資源循環型社会の推進」については、市制施行30周年を記念した生ごみ用の水切り袋をイベント等で配布するなど、ごみの減量化や資源化に係る啓発を推進するとともに、引き続き、東埼玉資源環境組合及び構成市町においてプラスチックの分別収集及びごみ処理の有料化について検討してまいります。

「自然環境の保全」については、引き続き、各小学校での環境学習を進めるとともに、生物多様性の重要性などを学べる企画や、大沢雄一元埼玉県知事居宅跡地に整備した公園を活用した森林環境に係る普及啓発と郷土の自然環境を親しむ機会の創出にも取り組んでまいります。また、「市民まつり」と同日に開催している親水イベント「川まつり」については、水害に見舞われてきた歴史を知るとともに、水と親しむ機会として、多くの方に足を運んでいただけるよう、更なる工夫を重ねながら取り組んでまいります。

演劇プロジェクト公演の様子  産業フェアの様子  吉川美南駅東口を視察する市長

以上が重点テーマとなります。続いて、その他の主要施策を説明させていただきます。

その他の主要施策

「スポーツ施設の整備」

「分散型スポーツ施設の整備」については、東埼玉資源環境組合第二最終処分場における多目的グラウンドやテニスコートの整備を進めるとともに、吉川美南駅東口周辺地区内の1号調整池については、平時において様々なスポーツを楽しめる場として、多目的グラウンド等の供用開始に向けて準備を進めてまいります。あわせて、屋外市民プール跡地の活用も検討を進め、引き続き、市民が身近な場所で気軽にスポーツに親しめる環境を整えてまいります。

「道路等の整備」

市民の皆さまの日常生活に欠かすことのできない「道路」や「橋りょう」の整備については、「吉川市道路舗装修繕計画」や「吉川市橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、順次、整備を進めているところですが、令和8年度においては、「いちょう通り」や「きよみ野地内」などの主要な道路の一部修繕のほか、「中曽根跨線橋のアプローチ部分」の修繕を実施してまいります。

また、「旭・三輪野江地区の生活道路整備」では、「屋形前周辺」や「小松川地内」の修繕を計画しているほか、路面標示や道路損傷箇所の補修など、日常的なパトロールを行いながら、適正な道路環境の維持管理に努めてまいります。

このほか、「吉川駅北口駅前ロータリー」の改修工事においては、引き続き、シェルターや歩道などの整備を進めるとともに、「越谷総合公園川藤線」については、令和7年度に実施した予備設計の成果を基にして、道路築造に向けた地盤解析に着手してまいります。

「街路樹の維持管理」

街路樹を中心とする道路の緑化は、うるおいある四季折々の景観の創出や自然環境保全機能が期待されています。しかしながら、現状としては、大木化や老木化をはじめ、雑木や雑草の繁茂、歩道の根上がりなどにより、安全な道路空間や良好な景観が阻害されているほか、近年では害虫による被害も顕著となっているなど、様々な課題を抱えており、維持管理コストや作業負担も大きくなっています。このようなことから、道路利用者の安全確保をはじめ、効果的な街路樹の在り方や、持続可能な維持管理を目指し、街路樹のマネジメントに関する方針の策定を進めてまいります。

「公園等の整備」

「公園等の整備」については、市民の皆さまが、より親しめ、憩える公園となるよう「公園再生プロジェクト」を展開しており、開設から30年以上が経過する公園を中心に、老朽化した遊具などを修繕または撤去し、順次、新たな遊具を設置するなど、公園の魅力が更に高まるよう再整備に取り組んでいるところでございます。

令和7年度は、中曽根公園の複合遊具等の修繕を行うとともに、遊具を撤去した木売公園には、障がいの有無などに関わらず、すべての子供達が共に遊ぶことができるインクルーシブブランコなどの設置を進めており、令和7年度中に完成を予定しているところでございます。

令和8年度も、引き続き、公園施設の修繕等のほか、遊具を撤去した高久公園に複合遊具を設置するとともに、市民からいただいた寄附金を活用し、永田公園に木材を使用した遊具の設置を進めてまいります。また、美南中央公園においては、利用者の利便性を高めるため、駐車場の拡張工事を進めてまいります。さらに、吉川中央地区内の5号街区公園予定地においては、吉川中央土地区画整理組合からいただいた寄附金を活用し、新たな公園の整備に向けて、測量・設計を行ってまいります。

「地域公共交通」

「地域公共交通」については、運転手不足や利用者減少などにより、交通事業者と行政が中心となって支えてきた現在の仕組みだけでは、持続的に市民の移動を支えることは全国的に困難な状況となっており、現に本市においても複数のバス事業者からバス路線の廃止について報告があったところでございます。

そうした中、令和7年度は、市民や有識者、交通事業者などに参画いただいている「地域公共交通協議会」において議論を重ね、将来の地域公共交通のあるべき姿を示す「吉川市地域公共交通計画」を策定いたしました。さらに、昨年12月に開催したシンポジウムでは、公共交通の現状や課題などを共有し、市民や地域、事業者、行政が「自分たちに何ができるか」を共に考え、実践に移す「決起大会」として、新たな一歩を踏み出したところでございます。

令和8年度においては、バス路線廃止に伴う代替交通として、吉川駅の南部地域では、三郷市との連携の下、新たな路線バスが4月から運行できるよう、現在、諸手続きを進めているところであり、東部地域では、タクシー利用料金助成事業を継続しながら、まずは地域の移動ニーズを把握するための調査を行ってまいります。また、地域公共交通協議会等における福祉事業者からのご提案を踏まえ、空き車両を活用した移動サービスの取り組みの可能性について、関係者の方々と意見交換を行ってまいります。

「行財政運営」

「第6次吉川市総合振興計画・前期基本計画」については、令和8年度で計画期間が終了することから、令和9年度を始期とする5か年の後期基本計画を策定してまいります。策定に当たっては、市民意識調査や市民ワークショップなどを踏まえ、市民の考えを十分反映させるとともに、効果的・効率的な行政運営の観点から、既存の行政計画との一体的な策定に取り組み、第6次総合振興計画に掲げる将来都市像を実現できるよう、総合的かつ計画的なまちづくりの推進を目指して取り組んでまいります。また、「組織体制と人事管理」については、行政需要に的確に対応できる組織を目指し「吉川市定員適正化計画」の改定を行い、適正な定員管理に取り組んでまいります。あわせて、職員研修においては、職員が日々の業務や主体的な学びを通じて成長できるよう充実を図るとともに、多様な分野で活躍する外部講師の経験や視点を取り入れた研修を実施してまいります。

「市税等の徴収」については、「適正な課税」の下、現年度課税分の徴収に重点を置き、納税者に寄り添った納税相談を実施するとともに、納税者の個々の実情を踏まえながら、適切かつ厳格な滞納整理に取り組んでまいりました。令和8年度においても、「税負担の公平性担保」と「市民サービスの向上に必要な財源を確保すること」を目的として、引き続き、給食費や保育料などの税外債権も含め、収納率の向上と収入未済額の縮減に努めてまいります。

「公有財産管理」については、専門家による施設の劣化調査やドローン調査結果などを踏まえ、令和7年度中に改定する「吉川市公共施設長寿命化計画」に基づき、令和8年度においては、屋内温水プールの大規模改修工事に向けて設計を進めるとともに、市内公共施設のLED化を進めてまいります。

スポーツ施設整備予定地を視察する市長  地域公共交通シンポジウムの様子  吉川駅北口改修工事のパース図

以上が令和8年度の主要施策となります。

むすびに

私が市長就任以来、一貫して掲げてきた「まちづくりの理念」は、「市民一人ひとりが日々の暮らしの中で幸福を実感でき、持続可能」である「価値ある未来」をこの吉川市に創り出すことです。しかし、「幸福実感」も「持続可能」も、行政が創り与えるものではありません。それぞれの課題やチャレンジに、市民一人ひとりと行政が共動で立ち向かう中でこそ、「幸福実感」「持続可能」という「価値ある未来」が生み出されるのです。

そうした中、今年4月1日、吉川市は市制施行30周年の節目を迎えます。この慶事に際し、市を挙げて記念の年を祝うとともに、「市民一人ひとりが日々の暮らしの中で、幸福を実感できる、持続可能なまち」に向けて、吉川市が更なる一歩を踏み出せる年となるよう、これまでの歴史を大切にし、先人に感謝する中で、市民・企業・団体・行政が一体となって、市制施行30周年記念事業を実施してまいります。

実施においては、子供や若者も30周年記念事業に関わりやすい環境を作り出すことを重視し、「未来を担う子供や若者が吉川市の未来について「想像」・「創造」するワークショップの開催」「市制施行の際に設置したタイムカプセルの開封式開催」「サーカスへの招待」「子供達をはじめ、幅広い世代の市民が「eスポーツ」に触れることができる機会の創出」など、子供や若者達が吉川市の魅力を再発見、創出する中で、吉川市への愛着心や誇りを育むことができるような事業を展開してまいります。

町から市となってのこの30年の間、きよみ野地区、美南地区、中央地区の区画整理やJR吉川美南駅の開業、また、美南小学校や吉川中学校の開校など、「街の基盤作り」は着実に進み、平成8年4月1日に5万3443人であった人口は、現在では7万2000人を超えるなど、成熟期を迎えつつある吉川市ではありますが、今後10年と経たず、本格的な人口減少の段階に入ることを想定し、そうした社会状況に対応出来得る「まちづくり」を現在すでに進めています。

その柱の一つが、次代を担う子供や若者達の「まちづくりへの主体的な参画」であり、市制施行30周年という節目を迎えるに当たり、これまで積み重ねてきた「すべての世代・すべての地域・すべての分野の皆さん一人ひとりとの共動のまちづくり」の中でも、特に「子供や若者達のまちづくりへの主体的な参画」をさらに前進させることにより、人口減少時代を迎えたとしても「幸福実感が高く、住み続けたい故郷」という「価値ある未来」を吉川市に創り出せると考えています。

以上の理念、考えの下、令和8年度もすべての施策において、全職員と共に力を尽くすことをお約束申し上げ、施政方針といたします。

記者会見の市長  市長キャラバンで市民に説明する市長  小学校での朝の挨拶運動に参加する市長

令和8年2月20日  

吉川市長 中原恵人

 

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