Highly Sensitive Child

「HSC」という言葉を聞いたことはありますか。
「HSC」とは、Highly Sensitive Childの略語で、「ひといちばい敏感な子ども」という意味です。
大人の場合は、Highly Sensitive Person(HSP)といいます。

HSCは、アメリカの心理学者エイレン・N・アーロン博士が提唱したもので、
生まれつき感受性が強く、悲しみや喜びを他の子よりも強く感じてしまうため、
学校では、「大きな声の先生が怖い」「泣いている人を見るだけで辛くなる」
「周りに気を使いすぎて発言できない」など、
多くの子どもには平気なことでも、
それらが積み重なると大きな不安になったり、極度に疲れてしまったりします。
これまでの私の経験の中でも、上記のような特徴をもつお子さんが思い浮かびます。
そこで、今回は「HSC」について調べたことを紹介したいと思います。

HSCの特性

HSCの特性として次のようなことが挙げられています。

  • プロセスの処理が深い
    周りの人の感情をいち早く察し、誰よりも深く考えてしまうため、
    物事に対して慎重になりがちで、
    「失敗したらどうしよう」「相手に嫌な思いをさせたらどうしよう」と考えてしまう。
  • 刺激を強く受けやすい
    音やにおい、人間関係などのちょっとした変化を大きく受け止めてしまうため、
    学校の集団生活では音や他人の動き、感情などの刺激を受けやすい。
    そのため疲れを感じやすく、学校や教室への居づらさに繋がってしまう。
  • 感情的な反応が強い
    他人の感情の変化を敏感に察してしまうため、
    他人が怒られているシーンに居合わせてしまうと、自分事のように受け止めて悩んでしまう。
  • ​微妙な刺激に対する共感と敏感さを持っている
    直観力と共感力に優れているため、微妙な変化や他人の感情の変化にも敏感。
    運動会などの学校行事では疲れやすい。

これらの特性を持つ子どもは、学校生活では様々な場面でストレスを感じてしまい、
学校生活に馴染めず、学校や教室がしんどい場所になってしまうことがあります。

においに敏感な子は、人が密集する教室や給食のにおいがストレスになることがあります。
慣れていないことや突発的なことが苦手で、
運動会などの学校行事では人から見られる場面で力が発揮できないことがあります。
また、先生がクラスメイトを叱っている場面やクラスメイトが言い争っている場面では、
その場の空気に圧倒され大きなストレスになります。

HSCの特性を持つ子どもは5人に1人と言われています。
そして、この敏感さや繊細さは病気でも障がいでもありません。
単に生まれつきの特性で、運動が得意な子、歌が上手な子、のんびり屋の子、せっかちな子などと同じです。
周囲の大人(親や先生など)からは、「消極的な子」や「我慢の足らない子」と見られてしまいがちなHSCですが、
我々大人が、まずはHSCを正しく理解し、寄り添った行動をとることが大切だと思います。

「気にしすぎだよ」「細かすぎるよ」「そんなの気にしない!」などの言葉は、逆に傷つけることになります。
子どもが苦手に感じるものを把握し安心して過ごせる環境を用意する、無理をさせず子どものペースに合ったサポートをする、
といった行動が大切です。