カエル博士となまりん劇場(18回)なまりん、空き家問題について考える(1)
空き家問題について知ろう
カエル博士となまりん劇場(第18回)
カエル博士:こんにちは、なまりん。今回の授業は、最近何かとニュースなどで取り上げられる、空き家問題についてです。
なまりん :こんにちは、博士♬空き家問題は確かに最近よく聞きますね。
カエル博士:なまりんは、どんな建物を空き家と呼ぶか知っていますか?
なまりん :人が住んでいない家を空き家って言うんじゃないんですか?
カエル博士:確かにその通りではありますが、法律では、「建築物又はこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」とされているんです。
なまりん :んーと、つまりどういうことですか?
カエル博士:つまり、住宅に限らずお店や工場など全ての建物のうち、たまに使われることはあっても、大抵は使用されていない建物で、その建物の敷地や門、塀や植木なども空き家に含まれますよってことですね。
この法律の中の「常態」という点は判断が難しいところなんですが、だいたい1年間使われていないことを指しますね。
なまりん :なるほど、1年間使っていない家は空き家と呼ばれてしまうわけですね!
カエル博士:そういうことですね。では、空き家が増えると、どんな問題が起きるか知っていますか?
なまりん :うーん…。まちの見た目が悪くなるとか?あとは空き家ってお化けがでそうなイメージ…?
カエル博士:お化けが出るかは分かりませんが、ゴミが不法投棄されたり、放火の対象になったり、動物が住み着いてしまったり、樹木の手入れをしないと隣の家に木などが入ってしまったりと、様々な問題が生じます。
ちなみに、空き家が増えることでまちにポツポツと穴があいていくように見えることから、空き家が増えることを「都市のスポンジ化」とも言われています。
なまりん :なるほど…。そうなってしまうと、賑わいもなくなってしまいますね。
カエル博士:そうですね。また、空き家をそのまま放置することで、瓦や外壁がはがれて落ちたり、火事になった時に他人にケガなどをさせてしまった場合は、損害賠償の対象にもなってしまうこともあるんです。
なまりん :損害賠償!ど、どのくらいのお金が必要になるんですか?
カエル博士:試算(事故が起こった場合を想定して、その状況から計算すること)ですが、火災による死亡事故などが起きた場合や、空き家が隣の家を巻き込んで倒れて、死亡事故を起こした場合は、2億円以上の損害賠償が想定されているんです。(公益社団法人日本住宅総合センター試算)
なまりん :に、におくえん!ゼロが何個かもわかりません!
カエル博士:だから、空き家は定期的な管理が必要なんです。あ、ちなみにゼロは8個ですよ。
カエル博士:では、なまりんは全国に何軒くらい空き家があると思いますか?
なまりん :たくさんあると思いますから…じゃあ100万軒!
カエル博士:正解は820万軒と言われています。(総務省:平成25年度 住宅・土地統計調査)
なまりん :は、はっぴゃくまん!?
カエル博士:そうなんです。この調査によると、空き家はここ20年で約1.8倍に増えていると分かりました。
なまりん :なんでそんなにあるんですか?
カエル博士:現在は少子高齢化(生まれる子どもが少なく、お年寄りが増えていくこと)が進んでいるので、人口は減少していますが、世帯数や、新たに建てられる住宅の数は増えているんです。人は減っているのに、家の数が増えているってことは?
なまりん :使われていない家が増えているってことですね!
カエル博士:そういうことです。このままのペースで増えていくと、2033年には2,000万軒以上の空き家が発生すると言われており、これは3軒に1軒は空き家という計算に近いものです。
なまりん :これは、なまりんが考えていたより深刻な問題です…。でも、空き家が目立っているのは田舎の方だけなんじゃないですか?
カエル博士:実はそうでもないんですよ。国土交通省が発表した、2018年版の「首都圏白書」という資料には、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)にもおよそ74万戸の空き家があるとされているんです。
なまりん :都心に近くても沢山の空き家があるんですね…。でも、なんで都心でも空き家にしちゃうんでしょうか?
カエル博士:空き家が発生する一番の理由としては、相続の時(亡くなった方などから財産を引き継ぐこと)とされていて、これが全体の8割くらいを占めています。
なまりん :なるほど。相続はしたけど、別の所に家を持っていたら使わないですもんね。
カエル博士:そうですね。でも、使わないからと言って放置していると、他にも問題が起こりますよ?
なまりん :え、さっき言ってた損害賠償の他にもですか?
カエル博士:そうなんです。国は、どんどん増えている空き家対策として、平成27年に空き家等対策の推進に関する特別措置法という法律を作りました。
なまりん :んん、難しい名前だ。
カエル博士:簡単に言うと、この法律の中には、「あまりにも空き家を放置しておくと税金を高くします」ということが書かれたんです。
なまりん :ええ!税金が!?
カエル博士:はい。空き家を放置して、周りの家などに凄く悪い影響を与える家を、「特定空き家」というのですが、特定空き家を更に放置すると固定資産税の「住宅特例」というものが外され、税金が高くなるんです。
なまりん :じゃあ、なおさら空き家を放っておけないですね!
カエル博士:そういうことですね。
なまりん :空き家が今どれくらいあって、なんで空き家を放置してはいけないのかは分かったんですが、吉川市では空き家の対策はしているんですか?
カエル博士:もちろん、していますよ。でも授業が長くなってきましたので、それは次回の授業でやりましょうかね。
なまりん :私はまだまだ元気なんですが、博士の体力が心配ですから、そうしましょう。
カエル博士:わ、私だって元気ですけどね!
なまりん :そういう事にしておきます♬じゃあ、私は今日の復習をして待ってますね!
カエル博士:むむ…。なんとなく納得はできませんが…。また次回をお楽しみにです♬